学校案内学校長あいさつ

報恩感謝

 1927年、政治家、実業家として茨城の近代化に多大な貢献をした飯村丈三郎は、社会の指導者たり得る有為な人材の育成を目的に、その生涯最後の大事業として、現在の茨城高等学校・中学校を創設しました。建学の精神は「報恩感謝」。飯村が生涯の信条とした、たった四文字のこの言葉を、私たちは100年近く大切に受け継いできました。私たちの日常は、目に見えない多くの人々との関係性、「恩」によって支えられている、そのことに感謝し、他者のために役立つ生き方をすべきだ、というのがその考え方です。

 報恩感謝は、共生の思想です。自らが他者の恩によって生かされているという気づきは、人と人とが支え合い、認め合いながら生きる社会の構築への意志をもたらします。利己主義、不寛容、排他主義が、社会の分断をあおり、民主主義を後退させようとしている現在、他者のために生きることの豊かさを説く報恩感謝の教えは、今こそ、私たちを導く道標となり得るのではないでしょうか。

 茨城高等学校・中学校が中高一貫制を導入して30年が経過しました。その間、いくつかのマイナーチェンジこそありましたが、私学の自由度を活かした本校の中高一貫カリキュラムは、その礎となる理念はそのままに、細部にわたって磨き込まれてきました。高校受験がないことから生まれる時間的ゆとりを活用し、深い自己探求の学びを可能にすること、中高のカリキュラムを有機的に結合させることで、大学入試に大きなアドバンテージをもたらすことが、本校カリキュラムの最大の特徴です。そして、その随所に用意された有意義な知的経験の機会、医学コース、国際教養コース、複数の大学との連携協力、AI教材駿台atama+など、多様で独自の学びの機会が、子どもたちに知的好奇心の芽吹きをうながし、豊かな教養としなやかな知性を育んでいきます

 中学、高校時代は、長い人生の中で見ればほんのわずかな期間に過ぎません。しかし、それは人生の土台を築くかけがえのない時間です。茨城高等学校・中学校には、生徒を信頼し、その成長に寄り添う風土があります。生徒たちが互いに支え合い、高めあう環境があります。生徒たち一人一人にとって、本校で過ごす日々が、未来に夢を馳せ豊かな成長を遂げる時間となることを願ってやみません。

茨城高等学校・中学校
校長 梶 克治